任意売却

競売における落札者との立ち退き交渉でゴネ得はあるのか?

住宅ローンの滞納を続けていると、やがて競売が開始され、期間入札が行われることになります。期間入札の結果、落札者が決定して所有権が移転すると競売の目的物を占有している者は基本的に退去しなければいけません。
この時、立ち退き交渉などによって何らかのゴネ得のようなものはあるのでしょうか。

LP_banner_02

最終的には退去は不可避
マイホームが住宅ローンの滞納によって競売となってしまっても、落札者が決まるまではマイホームの所有権は債務者にあるため、債務者は問題無く住み続けることができます。しかし、競売の手続きが進み売却許可を得た落札者が代金の納付を完了すると所有権が落札者に移転し、裁判所は所有権移転の登記を法務局に嘱託することになります。
こうなると債務者はそれまで住み続けていたマイホームに住む権利は無くなるため、落札者に立ち退きを求められれば応じざるを得ないことになります。もし、立ち退きたくない、立ち退きできないと主張を続けても、落札者が強制執行という手続きを取れば強制的に退去させられることになります。

交渉の余地の有無
仮に落札者が交渉する意思が無く、落札直後から強制執行に向けて手続きを取ったとするとおよそ2カ月程度で強制執行の断行となり、強制的に退去させられることになります。この強制執行の断行による退去を行うには費用が発生します。
家の大きさや荷物の量にもよりますが、概ね100㎡の家であれば、全て合わせて100~150万円は落札代金の他に必要となります。以前は落札者が占有者を退去させるのは大変な手間を要しましたが、法律が改正されてから立ち退きに裁判所の力を使えるようになったため費用を工面すれば容易に退去させることができるようになりました。
したがって立ち退きに際して交渉できる余地は、全く無い訳ではありませんが、少なくなりました。あまり期待することはできません。落札者から少しでも引越しの費用などを得たい場合には、早期に退去すること、強制執行よりも引越し代のほうが安く済むことを訴える方法が一番だとは思います。
しかし、落札者としても交渉事で手を焼きたくはないために、淡々と強制執行の手続きを取る業者などが増えてきているようです。

任意売却なら交渉可能
競売では立ち退きのための費用の捻出のための落札者との交渉が難しいのですが、任意売却であれば債権者との交渉が可能となります。必ず引越費用を捻出してもらえる訳ではありませんが、競売よりは可能性が高いです。任意売却の場合は、費用の捻出は債権者が行うこととなるのですが、この交渉も任意売却の仲介を行ってくれる専門の業者が行ってくれます。
競売ではゴネ得を狙ってもあまり効果が得られないばかりか、場合によっては公務執行妨害などの罪に問われることも無くはありません。早目に任意売却を選択することもひとつの有効な方法です。ご検討ください。

LP_banner_02

ピックアップ記事

  1. 不動産投資による不労所得を得るための仕掛け作りとリスク
  2. 不動産の売却に年齢制限はある?
  3. 督促状の納期限とペナルティについて
  4. 賃貸経営を行うのに宅建の資格は必要?
  5. 不動産売却の時に重要な登記費用について

関連記事

  1. 任意売却

    ローン中の家を売却することは可能なのでしょうか

    住宅ローンは相当な金額を長期に渡って返済し続けることになります。30年…

  2. 任意売却

    競売物件の減少と任意売却物件の増加

    裁判所において競売は事件として取り扱われます。この競売事件の総数は、リ…

  3. 任意売却

    任意売却での売却額に対する所得税の有無について

    普通の取引では不動産を売却した場合、利益に対して課税が行われます。譲渡…

  4. 任意売却

    マイホームを売却した際の譲渡所得税とは

    通常の売買でも競売でも任意売却でもマイホームを売却する行為は譲渡に該当…

  5. 任意売却

    固定資産税を滞納しているマイホームの任意売却は可能?

    固定資産税は不動産などを所有していることによって課税されるのですが、マ…

  6. 任意売却

    国税などの滞納によって行われる競売

    住宅ローンの滞納が続いた結果、融資を行った金融機関が返済不可能と判断し…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. いろいろ

    企業におけるリスク認知と有用なリスク認知の捉え方
  2. 債務整理

    抵当権の消滅と競売との関係とは?
  3. 任意売却

    競売における追い出しを回避するためには
  4. 不動産基礎知識

    競売における動産放棄の承諾書
  5. 不動産基礎知識

    住宅ローンによる借入に勤続年数はどれだけ影響するか?
PAGE TOP