住宅ローンの滞納を続けた結果、返済が出来なくなった人が所有している住宅を金融機関などの債権者の承諾を得て売却することを任意売却といいます。
任意売却は競売と異なり一般の不動産売買市場で売却できるため、債務者にとって競売で売却するよりメリットが大きいと言われていまますが、購入者にとってはどのようなリスクがあるのでしょうか。今回は任意売却の最大のリスクと良く言われる瑕疵担保責任について考えてみます。
瑕疵担保責任がない
任意売却による物件の購入者にとっての最大のリスクは、瑕疵担保責任が無いことだと良く言われます。瑕疵担保責任とは、売買の目的物である住宅などに一般の人では簡単に発見できない欠陥(これを隠れたる瑕疵といいます。)があったときに、売主が買主に対して修繕などの損害賠償義務を負うことです。
また、隠れたる瑕疵が住戸の用に供することが出来ないほどに重大な場合には売買契約を解除することが認められています。売主が瑕疵担保責任を全うするためには、売主に損害賠償を負担できるだけの財力が必要となりますが、任意売却のケースではそもそも売主はローンの返済が出来ないため瑕疵担保責任を負っても損害賠償などの対応は困難です。
このため任意売却では売主の瑕疵担保責任が免責となります。したがって物件の購入後に隠れたる瑕疵が見つかっても買主は損害賠償を売主に求めることが出来ません。
瑕疵担保責任の免責は大きなリスクではない?
実は任意売却でなくても、個人が売主の不動産売買の場合には瑕疵担保責任が免責となっているケースが多くあります。免責ではなかったとしても期間が3カ月などと短いケースが多く、そもそも簡単に見つけることが出来ない欠陥ですから、この期間では隠れたる瑕疵が見つかる可能性は小さいといえます。
売却する側にしても、個人の方が想定していなかった瑕疵によって手放した住宅について、幾らになるか分からない損害賠償を負うかもしれないと思うと安心して売却することはできません。このため個人が住宅を売却する場合には現状有姿といって、あるがままの状態で売却するというケースが多いのです。
したがって個人から不動産を仲介で購入する場合と、任意売却の物件の購入する場合とで瑕疵担保責任におけるリスクは、大きくは変わらないケースが多いということになります。
瑕疵担保責任にこだわるのであれば
瑕疵担保責任の免責によるリスクが気になるという方は任意売却での物件購入はお勧めできません。不動産業者が仲介ではなく、売却する物件では瑕疵担保責任を2年間負うことになっていますので、このような物件を購入するほうが安心だと言えるでしょう。