債権回収のために不動産競売手続きでは、裁判所による債務者の財産を差し押さえます。その財産を金銭に換える売却が順調に進むと、金銭を債務者に与えるという段階を踏み競売は進められていきます。その手続きの中で「債権届出」という手続きがあるのですが、それはどのような手続きなのでしょうか。
債権届出とは
不動産の差し押さえの効力が発生すると、まず裁判所の書記官が配当要求の期限を決めます。その後、公告をし、債権届出の催告がなされます。
裁判所が行う債権届出の催告とは、定められた債権者に債権の存在、原因及び額を配当要求の終期までに届けるよう通知をすることです。
ここでいう定められた債権者とは、どのような方をいうのでしょう。
例えば、抵当権の順位番号3番の抵当権者が、不動産競売を申し立てして、競売の開始決定がなされたとしましょう。その後、同対象不動産に、順位番号1番の抵当権を有する者がいた場合、裁判所が「債権届出」の催告書を出し、債権の存否、原因、金額を裁判所まで届出るよう呼びかけるのです。
裁判所は、「現況調査」と「評価」、「債権届出」の3つの手続きの結果をもとに、売却基準価格を決定します。債権届出は競売価格にも大きく関わっているのです。
債権届出が提出されなかった場合
では、優先債権者から債権届出がなされなかった場合は、どうなるのでしょうか。こちらは、優先債権者から「債権届出がない」と判断されるものではなく、その被担保債権が実体的に存続するものとして判断されます。
民事執行法50条に催告を受けた者の債権の届出義務がありますが、その中で、催告にかかる事項について届出をしなければならない旨が記されており、故意または過失により、その届出をしなかった時、または不実の届出をした時は、これによって生じた損害を賠償しなければならないことも明記されています。
そのようなことから、債権届出が届いた際には、事実に基づき記載をし、提出しなくては思いもよらない損害を被るリスクを負うことになります。
債権届出を出すことでどうなるのか
債権届出を提出することにより、債権者の方には債務額に応じて配当がなされることがあります。
債権額に応じてとは、物件の評価額が5000万円の場合、6000万円の債権があった順位番号1番の債権者に配当があり、先に競売を申し立てたものには、配当が行きわたらないということもあります。
その場合、競売を申し立てたものの利益を保護することから、その競売手続き自体が取り消されることがあります。
まとめ
債権届出の通知が届くことで、ご自身が債権を持っている物件が、競売にかけられていることがわかります。届出を出すことで、配当があるかもしれません。今一度確認をし、故意に提出を避けることはしないよう気を付けてください。
不動産のことに関して何か疑問や困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。