裁判所が執行する不動産の競売は、当該物件の情報が開示されたあとでも、何らかの事情により変更・中止になることがあります。競売に参加を考えていた不動産業者や個人にとっては困った事ですが、裁判所には、その職務を行う為に強い権限が与えられています。今回は競売における変更についてお伝えします。
どの様な場合に変更になるか?
競売参加者にとって、物件の詳細を知るために欠かせない情報源となる、”3点セット”(物件明細書・現況調査報告書・評価書)の内容に、重大な修正が必要となった際には、裁判所はその持てる権限で、競売を”変更”する事があります。具体的には、売却基準価格に修正が必要となる様な事実が判明した際などです。その場合、裁判所は評価額の見直しの為の期間を設ける為、競売のスケジュールを遅らせることができます。
債権者からの申し立てによる”変更”
差し押さえと競売を申し立てていた債権者から裁判所への延期申請があった場合にも、裁判所の職権による変更が行われます。物件の前住人である債務者と債権者の間で、任意売却などの交渉が続いている場合などがこれに該当します。
この場合、裁判所は売却実地命令の一時延期を行います。その後、任意売却に関する話し合いがまとまった場合は正式に債権者から裁判所へ申し立ての取下げがなされることなり、逆に任意売却の話し合いが何らかの理由により不首尾に終わった場合は、競売は当初の日程を変更して開催されることになります。
その他、競売に関して起こりうる事態
前述した以外に、競売の手続きが開始された後で裁判所の判断で下される可能性のある物には次のような物があります。
1.取下
取下とは、債権者と物件の前住人(債務者)との話し合いがまとまって、債権者が当該不動産競売の申立てを取下げて、競売手続を終了させる事を指します。競売を申立てた債権者は、競売手続き開始後でも、競売申立てそのものを取下げる事が可能です。但し、入札開始後に申し立てを取り下げる場合、最高価買受申出人(及び次順位買受申出人がいる場合には、さらにこの者) が、決定した後に取下げをする場合は、この者の同意を得ることが必要とされています。
2.取消
当該不動産の滅失等による競売の手続の取消
不動産の滅失など、その他、競売による不動産の所有者移転を妨げる何らかの事由がある事が明らかとなったときは、裁判所により競売の手続自体が、取消される事になります。
剰余を生ずる見込みのない場合の措置
当該不動産の売却を行っても、配当に剰余の見込みがないなど、”無意味”と判断した場合にも、競売の手続は取消されます。
3.停止
債務者の申立てによる競売手続の停止
債務者には執行停止文書を裁判所へ提出し、競売手続の停止を求める権利があります。裁判所がこれを認めた場合には、競売の手続その物が取消されます。
売却が困難である場合の競売手続の停止
裁判所は、入札又は競売による売却を”3回”実施させても、買受けの申出がなかつた場合に、更に売却を実施しても売却の見込がないと思われるときは、競売の手続を停止することがあります。
4.延期
執行裁判所の職権による延期
債権者からの延期申請などより、執行裁判所の職権によって、競売の執行を一時延期する場合があります。ほとんどの場合は任意売却の交渉が進行中である場合に、債権者から上申されます。
5.変更
執行裁判所の職権による変更
執行裁判所はその職権によって、売却実施命令の内容を変更する事ができます。
まとめ
今回は競売における裁判所の職権による変更を中心にお伝えしました。競売には個人の参加の障壁が下がったとはいえ、知っておかないといけないことが多く存在します。競売への参加を考えている個人の方には、経験豊かな不動産業者への相談をお勧めします。
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