不動産基礎知識

競売における登録免許税の取扱いについて

競売に限らず不動産の売買には様々な税金が絡んできます。
競売物件を落札して所有権を取得する際には、登録免許税と不動産取得税が課税されますが、登録免許税の取扱いはどの様になっているのでしょうか。

登録免許税とは
不動産を購入した場合に購入の対価として、買主が売買代金を売主に支払うことで所有権は買主に移転する事になります。
この所有権の移転は売買当事者間では有効ですが、第三者には所有権の移転を主張する事ができません。
そこで所有権移転の対抗力を備えるために所有権の移転登記をすることが必要になります。
この所有権の移転登記を行うのに登録免許税が発生するのです。
この登録免許税は通常の売買だけでなく競売による所有権移転に際しても必要となります。
また、所有権移転だけでなく、抵当権設定などの登記を行う場合にも登録免許税は必要になります。

登録免許税の税額
競売によって落札した不動産の所有権移転の登記は裁判所の職権で行われます。
このため落札者は司法書士への報酬を用意する必要はなく、登録免許税のみを負担することとなります。
なお、競売の場合では所有権移転登記だけでなく負担記入抹消登記も職権で行われ、この抹消登記に際しても登録免許税が必要になります。
登録免許税は、所有権移転登記については、土地、建物それぞれ固定資産課税台帳登録価格すなわち固定資産税評価額に2%の税率を乗じた額となります。
なお、個人が自己の居住用として落札した家屋が一定の要件を満たす場合には、建物の登録免許税が2%から0.3%に軽減されます。
賃貸や転売を目的とした物件には適用されません。
軽減措置を受けるためには、落札した建物について住宅用家屋証明書を提出する必要があり、この発行を受けるためには床面積、築年数などについて要件を満たさなければいけません。
また、抵当権などの抹消を行う負担記入抹消登記にも登録免許税が発生し、物件ひとつにつき1,000円で20を超える場合であっても2万円を限度として定めています。
区分所有建物で敷地権が設定されている場合には、筆数の数え方が複雑になりますので注意しましょう。

登録免許税の納付
登録免許税は収入印紙の購入、又は税務署などへの納付によって行うこととなります。
納める登録免許税の税額が明確ならば良いですが、競売によって落札した物件が複雑で、増改築を行っているケースでは、登録免許税の算出が良く分からなくなる事もあるかと思います。
このような時は裁判所の競売係に相談をしてみると、登録免許税の額を計算してくれるところが多いようなので、困ったときには是非相談してみましょう。

ピックアップ記事

  1. 不動産の投資で不労所得生活を始めていくために考えること
  2. 不動産売却における委任状取り扱い説明書
  3. 賃貸不動産の経営管理を安易に考えてはいけません!
  4. 在宅ローンの老後破産リスクは任意売却で回避しよう
  5. 賃貸経営を行うのに宅建の資格は必要?

関連記事

  1. 不動産基礎知識

    住宅ローンは、産休時に組めるのか?

    人生におけるライフイベントが重なると経済的な不安が生じます。例えばマイ…

  2. 不動産基礎知識

    賃貸不動産経営管理士の必要性とは

    賃貸管理業務を行うには、業務に必要とされている専門的な知識と技能・技術…

  3. 不動産基礎知識

    不動産競売に参加する際の注意?  売買契約書に瑕疵の保証がない

    不動産競売を行うには多くの手続きが必要になりますが、一般の競売物件と異…

  4. 不動産基礎知識

    入籍前に住宅ローンは組める? ~ペアローンとは~

    婚約しているカップルが入籍と同時に新居に住みたい場合、手続き的には入籍…

  5. 不動産基礎知識

    競売に向かった流れを変えるには

    マイホームが競売にかかってしまった方のほとんどが、まさか自分の家がそん…

  6. 不動産基礎知識

    不動産競売の入札制限について

    裁判所で行われる不動産競売で買受の申し出は入札によって行われます。入札…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 賃貸オーナー様

    賃貸管理での直接オーナーが管理する利点とは
  2. 賃貸オーナー様

    賃貸経営によって年収が増えることのジレンマ
  3. 離婚と不動産

    離婚時における税金の対策について知ろう!
  4. 債務整理

    入札側も債務者側も知っておくと役立つ、裁判所が行う競売のプロセス
  5. 債務整理

    住宅ローンは金利だけでなく、総支払額、今後の金利の推移も重要
PAGE TOP