相続が発生した場合、定められた期間内に被相続人の遺産総額を計算し、相続税の発生があれば申告を行って納税しなければいけません。
現金のように金額が明確になっているものだけはなく、芸術品や不動産のようにその価値がすぐには把握できず個別に評価を行って金額を算定しなければいけない遺産もあります。相続の対象となった建物はどの様に評価を行うのでしょうか。
相続における建物の評価
相続が発生した場合には被相続人の遺産の総額を計算する必要があります。しかし、現金の様に金額が明確なものであれば良いのですが、不動産のように個別性が強く、株式市場における株券などの様に公開された取引市場で価格が公表されていない財産について、相続人がそれぞれの自己判断で価格を決めてしまうと公平な課税が出来なくなってしまいます。
そこで国税庁は「財産評価基本通達」を定めて土地や建物などの様々な財産について評価方法を定めており、相続財産はこの通達に沿って評価した金額で総額を計算する事になります。
相続における建物の評価
建物は用途、構造、形状など実に様々です。これを相続人が個別具体的に評価をして金額を決めるという作業を行うのは実際には困難な事です。実は相続税における建物の評価額は簡単に把握する事が出来ます。
建物の所有者には固定資産税が課税されますが、この固定資産税は建物の固定資産税評価額を基に算定されるものです。相続税における建物の評価額は、この固定資産税における建物の評価額と同額なのです。
したがって、被相続人に対する課税明細書などを確認する事で建物の評価額を把握する事ができるのです。この固定資産税評価額は、固定資産税評価基準に沿って計算された金額であり、全国同一の基準で計算されますので税の公平性を図る事もできます。
賃貸に供している場合
建物は自分で利用している場合には評価額は固定資産税評価額と同額ですが、建物を賃貸している場合には相続税における評価額は下がる事になります。建物の固定資産税評価額から、賃貸している事によって発生している借家権割合と賃貸割合を考慮した評価額を控除して求めた金額となるのです。
例えば建物価格100とした場合、借家権割合が30%、建物を賃貸している割合が50%とすると、100
100×30%×50%=85となり、建物の評価額は15下がる事になります。相続税対策に不動産を賃貸する不動産投資が勧められるのは、建物の固定資産税評価額は、建築費の50~70%程度であり、賃貸すると更に下がるからなのです。なお、借家権割合は地域によって異なるので確認が必要です。