競売物件の代金には消費税が課税されないというのは本当でしょうか。もし、そうだとすると競売物件を取得しようとしている人にとっては消費税分支払いが減ることになりますので良い話なのでしょうが、どこか影響が出るところは無いのでしょうか。
■競売による取得代金への消費税
消費税は、広く公平な課税の実施を目的として、商品や製品の販売、サービスの提供などの取引が行われた場合に課税されます。消費者が取引の対価に付加して支払った消費税を事業者が納税する仕組みとなっています。しかし、課税事業者でなければ消費税を納税する義務は生じません。
課税事業者は過去の売上により該当、非該当が決まります。非該当の場合は免税事業者となりますが、免税事業者であっても課税事業者になることを選択することができます。なお、非課税取引といって、消費税が課税されない取引があり、土地の取引は非課税取引に該当します。一方、建物の取引は課税取引に該当します。
競売では建物やマンションも売却の対象となりますが、競売による代金に対して落札者は消費税を追加で支払う必要はありませんので落札した金額が代金となります。
■競売でも実は消費税が発生する
競売の落札者視点から捉えた場合には、消費税相当額を追加で支払うということは無いのですが、競売不動産の所有者視点の場合にはどうでしょうか。実は競売物件の所有者が消費税の課税業者であった場合には消費税を支払わないといけません。消費税は買受人に課税されるものではなく、売却した人すなわち競売不動産の所有者に課税されるものです。
すなわち競売による売上に対して課税が行われることになります。しかし、落札者は代金以外に消費税を支払うことはありません。したがって代金は消費税込みとして計算が行われます。土地と建物が一緒に売却されている場合には、建物代金に相当する金額に対して課税となります。そして債務者には後日消費税を支払う義務が発生しますが、売却代金は全て配当などに回ることになりますので、別途消費税相当金額を用意しておかなければいけません。なお、免税事業者は課税されることはありません。
■任意売却における消費税の扱い
任意売却においても、課税業者が売主となれば建物の売却金額に対して消費税が課税されます。この消費税は売却費用に含まれないのが一般的なようです。しかし、任意売却であれば、交渉事なので任意売却の専門家に相談すれば何らかのアドバイスが受けられる可能性はあります。何よりも競売だと低い売却価格であるにも関わらず、課税業者であれば更に消費税が内税扱いとなって別途請求となりますので、債務者にとっては非常に不利であることに違いはないでしょう。